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1994-11-16
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2KB
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34 lines
489/490 WST00364 和田 光平 三べん廻って煙草にせう(江戸)
( 8) 94/02/25 08:59
三べん廻って煙草にせう(江戸)
犬を飼ったことのある人は「三べん回ってワンと言え」なんて芸を仕込んだ経験が
あるかも知れません.記憶にあるのは,「ワン」の方で,「煙草にせう」は,そう言わ
れれば聞いたことがあるなー,といった程度でしょう.
これで安心だと思うな,もう一度,いや三度見廻りをしてから,休憩にしなさい.
それほど細心の注意を払う用心を教えている諺なのです.
カルタの絵を見ると店番らしき男がキセルを食わえています.後ろに縦長の赤提灯が
あって大當里の文字が見えます.オオアタリの洒落でしょう.おばあちゃんが孫に
かるた遊びを教えてやって,孫が,正しいかるたを取ると,大当たり!そんな気分と
遊びが感じられます.
江戸市中には,自身番と言って町人が組織する自警団がありました.一つの町に一軒
自身番がありました.通称,番屋と言います.家主1人に店番2人,雇い人2人の5人
番,または,もっと少ない3人番が番屋の構成です.今の交番と市役所の出先を兼ねた
ような役割をしていたようです.
似たものに木戸番がありますが,こちらは木戸の側に一人の番太郎がいるだけ.夜は
木戸を締め人が通らないよう見張ります.もし,誰かが木戸をくぐったら,拍子木を
一つ打ちます.火事の時半鐘を叩く役目も番太郎がします.番太とも言います.後に
その場所を利用して,駄菓子を売ったりするようになりました.
夜回りをするのは,番屋の仕事です.冬の寒い夜なぞ,囲炉裏を囲んでいると外に
出たくは無い.そこへ定回りの役人がやって来て,何か変わったことはないか?なんて
聞いて来る.へーい.と間延びのした声で応えて,さあ,三べん廻って煙草にせふ.と
重い腰を上げ,提灯を持って町内の見回りに出掛けることになります.
さすがに木戸のある町は記憶にありませんが,番屋の名残はかすかにあります.私の
父の郷里の屋号は番所と言います.明治維新以前に,このような仕事をしていたものか
それとも単なる屋号なのか,詳しいことは知りません.
岩見銀山の近くに位置し,古い地図にも番所と記された家が載っています.
父の記憶では,昭和になっても,大阪の興行師がこの村にやって来ると,番所に挨拶
するのが習わしだったと言います.
東海支社)和田 光平